刑訴規則199条の13第2項から考える日常会話
会話というものは,本来はキャッチボールであるはずなのですが,世の中には相手の反応を考えていないような会話をする人がいます。
今日は,そんな世にも奇妙な物語です。
1.訴訟関係人は,次に掲げる尋問をしてはならない①-威嚇的または侮蔑的な尋問(刑訴規則199条の13Ⅱ①)
この会話をする人は,基本的には私に対して敬意を抱いていない種類の方々です。それは,私が若かったり,まわりっくどい話をしたり,アクリル板に阻まれて心を開くことが出来なかったりするからなのですが,中には,弁護士という職業自体に憎悪を抱いている人もいます。経験的には,午後9時過ぎの飲食店でからまれる際によく見るタイプですね。
使用例
・「弁護士ってのはそんなに偉いのか。」
・「お高くとまってんじゃねぇぞ。」
・「朝日新聞読んでる奴なんてのはロクな奴がいない。」
・「これで示談できねぇってんなら他に何が出来んだよ。」
・「金がないから払えないっていうけど,あんたが本人の金をくすねてんだろ。」
2.訴訟関係人は,次に掲げる尋問をしてはならない②-すでにした尋問と重複する尋問(同199条の13Ⅱ②)
これもなかなかに遭遇率が高いタイプです。しかし,みんながみんなわざとやっているわけではなく,本当に以前のやり取りを忘れてしまっていることもあるので,基本的には優しく接したほうが良いでしょう。私自身も最近物忘れが激しくなってきて,同じ話を何回もしてしまいます。まぁ,原因は酒の飲みすぎであるとわかっているので,まだ安心です。
使用例
・「弁護士費用っていくらかかるんでしたっけ。」
・「(1日おきに)現在の進捗状況を教えてほしいんですけど。」
・「不起訴になれば,事件自体がなかったことになるんですよね。」
・「(土日に電話を掛けてきて留守電に)先生いらっしゃらないんですか。」
・「弁護士のカドイさんお願いしたいんですが。」
3.訴訟関係人は,次に掲げる尋問をしてはならない③-意見を求め又は議論にわたる尋問(同199条の13Ⅱ③)
最近悩まされているのはこのタイプです。傾向を探ってみたのですが,老若男女問わずこういう話し方をする人はいます。私自身がこういう質問を全くしないので,どういう気持ちで人に意見を求めているのかわからないのですが,何となく現実社会であがいているような印象は受けます。私は,特に社会に期待もしていませんし未来に期待もしていないので,人が何を考えているのか頓着がないのかもしれません。
使用例
・「そんなことおかしいと思いませんか。」
・「こんなひどい法律についてどう思いますか。」
・「彼女はどういうことを狙ってこんなことするのかねぇ。」
・「これはあてつけだわ。そうは思いません?」
・「人は神に創られたときから原罪を有しているのではないですか。」
4.訴訟関係人は,次に掲げる尋問をしてはならない④-証人が直接経験しなかった事実についての尋問(同199条の13Ⅱ④)
この質問は,上の「意見を求める尋問」とも重複する部分があるのですが,誰かの立場になってものを考えるなんてことはフィクションです。だからこそ,「お気持ちはわかりますよ。」なんてことは極力言わないようにしていますし,実際他人の気持ちがわかるなんて言うことは一種のエゴなのではないかと思います。あと,弁護士だからと言ってすべての事件を扱ったことがあるわけではありませんので,過度の期待を抱くことも控えていただきたいなぁと思う次第であります。
使用例
・「先生の豊富なご経験からすると,どういう結果になりますでしょうか。」
・「実刑になる確率を教えてください。」
・「あなたが彼の立場だとしたらどう思いますか。」
・「無罪判決を勝ち取ったときはどんな気持ちでしたか。」
・「貸与金の返還そろそろ始まっちゃうよねぇ。」
久々の投稿がこんな内容で申し訳。
投稿者:
アダジオ法律事務所
住所:神奈川県横須賀市富士見町2-72 森コーポ2階
電話番号:046-828-6960
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