漂泊の歌人
2016.06.30更新
こんにちは。
弁護士の角井です。
月末になるとさまざまなレポートが届きます。
ホームページのアクセス数はどうだったとか,検索ワードはこんなだったとか,順位変動が安定してるか不安定なのかとか。
検索ワードを見ていると不思議なことが起こります。
当事務所のホームページにたどり着いた人は,法律用語の検索をしているわけではなく,やれ「株主総会」だの「職印」だの「タビハナ」だのという人が多いということです。
なんででしょうねぇ。
あぁ。
ブログの記事のせいか。
じゃあ,もっとやってやるか。
若山牧水は,本名を若山繁と言い,明治18年8月24日,宮崎県東臼杵郡東郷村坪谷に生まれた。旅と酒と自然を愛した人であった。
牧水は,大正4年3月,妻の療養のために,横須賀市北下浦長沢に転居した。自然豊かで温暖な土地だったせいもあってか,のんびりとした生活を送っていたらしく,浦賀に出かけたり,子どもと釣りに出かけたり,時には松輪の方まで足を延ばすこともあったらしい。
牧水は,横須賀での生活で作った歌を第八歌集『砂丘』にまとめている。その中の一つは,歌碑となり,北下浦行政センターに残されている。当の歌は,こんな歌である。
「海越えて 鋸山はかすめども 此処の長浜浪立ちやまず」
長沢海岸では,白昼,砂浜に寝転んで物思いにふけっていることもあったらしい。同じ歌集にはこんな歌も収められている。
「昼の浜 思ひほほけしまろび寝に づんと響きて白浪あがる」
横須賀での生活は平穏なものであったが,牧水自体は後に「物陰に隠れて労れを休めてゐるといふ様な,か弱い感傷から詠まれた」歌が多く,「いはゞ「夏の疲労」とも謂ふべき歌集であつた」と記している。
そうは言っても,牧水ならではの美しい調べは失われておらず,声に出して読むとなんとも心地よい歌ばかりである。
先程紹介した歌碑の場所には,若山牧水資料館があり,牧水直筆の書や手紙,関連書籍を見ることができる。
これまで牧水に興味のなかった人も,是非一度訪れて見られたい。
さて,横須賀とも絡めたので,まったく関連性がないわけではないでしょう。
参考文献:見尾久美恵「若山牧水 コレクション日本歌人選038」笠間書院,2011年
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