栄養補給は視覚から②

query_builder 2015/07/27

 こんにちは。

 横須賀のアダジオ法律事務所の弁護士の角井です。

 

 先ほど私がお世話になっている会社の方からお電話があり,「暑くて溶け(融け?)そうです。」とおっしゃっていましたが,まさしく同感です。

 私が知っているスポットでは,京浜急行の2100形の車内が一番涼しいですね。ジャケット着て丁度。

 さてさて,本の紹介を続けることにしましょう。

 

 

・奥平康弘ほか編『改憲の何が問題か』(岩波書店・2013年)

 

 タイトルがストレートすぎるとは思いますが,いま話題の内容ですので買ってみました。職業柄,友人たちからも改憲問題について意見を求められることがあるので,そのためにも勉強することは必要だと思った次第です。

 私は法律家ですので,法律解釈の立場から自民党改正案を検討しますが,本書が指摘するようにこの改正案には問題点が多くあると思います。

 新聞の投稿欄などを見てみると,「武力行使ができるようにする必要性がある。」といった意見や「改正反対派は現状を打破する解決策を提示していない。」という意見を目にしますが,それは改正案に潜む法的問題点に正面から答えたことにはなりません。「違憲である。」という意見には,「違憲ではない。」という反論をすべきであって,「改憲の必要性がある。」という反論はおよそ反論にはなっていません。

 著者の中には,いまは亡き奥平康弘先生をはじめとして,青井未帆先生,駒村圭吾先生,長谷部恭男先生,高見勝利先生,佐々木弘道先生など錚々たる面々がそろっています。改憲をめぐる議論の出発点としては,最適な本であると思います。

 

 

・谷川俊太郎『詩に就いて』(思潮社・2015年)

 

  突然ですが,私は谷川俊太郎さんの作品を好んで読んでいます。最初の出会いは,『いちねんせい』(小学館・1988年)を母から買い与えられたことだったと思いますが,当時まだ「いちねんせい」ではなかった私は,言葉の意味を離れて,ただその音の響きに酔いしれていたことを記憶しています。谷川さんの詩は,他の多くの芸術家と同じように,その創作の時期によって形式を大きく変えています。本書では,おおむね見開き2ページに収まる長さの詩が収録されていますが,これは私が最も好きな長さです。この仕事をしていると,多くの言葉に埋もれてしまう感覚に襲われることがありますが,詩はその恐怖から私を助け出してくれます。

 

 

・谷川俊太郎『あたしとあなた』(ナナロク社・2015年)

 

 谷川さんの詩と再び出会ったのは,高校3年生の夏が終わるころでした。受験生特有の「憂鬱」という感情に苛まれていた私は,横須賀モアーズシティの平坂書房で一冊の本と出会います(『続続・谷川俊太郎詩集』(思潮社・1993年))。「続続」ということは,谷川さんだけで3冊のベスト詩集が発刊されているということですが,何故だか3冊目である「続続」に処女詩集である「二十億光年の孤独」と第二詩集である「62のソネット」から多くの詩が収録されていました。谷川さんが「二十億光年の孤独」に収録された詩を書いていたのは,ちょうどその頃の私と同じ年齢のときであり,そのことが私を谷川さんの詩に惹きつけさせる原因になったのかもしれません。

 本書は,一行に数文字しかない詩群形式を採用した作品です。詩人の行分けには必ず意味が含まれていますし,使う漢字にも必ず意味があります。普段,私は多少の誤字脱字に気付かないこともありますが,詩を読むときには一言一句を見逃さないようにじっくりと鑑賞します。また,本書の装丁は素晴らしいの一言です。

 

 

・『隔週刊 ジッポー コレクション No.14』(デアゴスティーニ・2015年)

 

 「先生はタバコ吸いますか?」と聞かれれば,「はい,吸います。」と答えます。「先生はスモーカーですか?」と聞かれれば,「よくわかりません。」と答えるようにしています。とかくタバコを吸うことが敬遠される昨今ですが,私は好きでタバコを吸っているので,違法にならない限りタバコを吸い続けると思います。ただ,ニコチン中毒者ではないので,吸わないとどうにかなってしまうわけではありませんし,酒席を除いて人前でタバコを吸うこともありません。このように,私にとっての喫煙は趣味の一つですので,喫煙具にもこだわりを持たなければなりません。ジッポーコレクションは定期購読しているわけではありませんが,気に入ったジッポーのときには購入しています。ちなみに,本号は,「ZIPPO MUSEUM 1997」でした。

 

 

・『ことりっぷ 伊勢・志摩』(昭文社・2015年)

・『タビハナ 伊勢・志摩』(JTBパブリッシング・2014年)

・『ココミル 伊勢 志摩』(JTBパブリッシング・2015年)

 

 前々から気になっていたのです。正方形の旅ガイドブックなるものがどのような内容なのか。今般,私的に伊勢志摩への旅行を計画している関係から,正方形ガイドブックを比較検討してみようと思い立ちました。まず,大きさは「ココミル」だけ他の二つより少し大きいです。ページ数は,3つとも同じでした。「タビハナ」にはデコシールが付いています。色合いは,「タビハナ」だけちかちかします。

 結論から言うと,どの本にも良さがありました。「ことりっぷ」は,旅行プランやドライブプランの提案が素晴らしいです。「タビハナ」は一つ一つの写真が大きく,旅行へのワクワク感を高めてくれます。「ココミル」は,情報量が多く,じっくり読むには最適です。

 

 

・國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(太田出版・2015年・増補新版)

 

 トリを飾るのは,國分先生の作品です。私は,従来から古市憲寿さんの著書を多く読んでいましたが,その中に國分先生との共著があったことから(國分功一郎=古市憲寿『社会の抜け道』(小学館・2013年)),國分先生の存在を知りました。また,昨年NHKで放送された『哲子の部屋』にも出演されていましたので,一度著作を読んでみたいと思っていたのです。そうしたところ,これまた安定の平坂書房モアーズシティ店に本書が平積みされていたことから,これはちょうどよかったと購入した次第です。

 國分先生が努めて平易に叙述しようとしているのは分かるのですが,その内容はかなり難解なものでした。というのも,國分先生は哲学がご専門なのですが,倫理学,歴史学,人類学,政治学などが複雑に絡み合って議論が展開されていくので,若干のバックグラインドがないと読んでいて辛くなるのではないかと思いました。逆を言うと,少しでもそのような分野に知識があれば,論述が立体的に感じられ,非常に納得のいく読後感に繋がるのではとも感じました。

 文庫になっているのですが,とにかく分厚い本なので,内容を解説することは私の能力を超えます。ただ,私はこの本を読んで確実に世界の見方が変わった気がします。世界に新たな視点を与えることが哲学の使命であると考えれば,本書は十分すぎるほどその役目を果たしています。

 どこかから聞こえてくる「なんとなく退屈だ」という声。それは,谷川さんの本に出会った頃の私自身にもあてはまるものです。その声から逃れるためにはどうすればよいのか,本書はある仮説を提案します。この本は間を空けることなく,一気呵成に読んでいただきたい本です。

 

 

 

 はぁ,これですべて解説できましたかね。これでしばらく本を買わないようにしないと,「積み本」がたまっていく一方です。頑張って読破します。

投稿者: アダジオ法律事務所

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