少年事件の特殊性~非行事実と要保護性~
2015.07.13更新
こんにちは。
横須賀のアダジオ法律事務所の弁護士の角井です。
梅雨は開けていないにもかかわらず,突然夏がやってきた印象ですね。
スリーピースを着続けることは,もう難しいことなのかもしれません。
今日,ネットのニュースを何気なく見ていたところ,次のようなニュースが報道されていました。
『<佐世保・高1殺害>少女の医療少年院送致を決定…長崎家裁』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150713-00000025-mai-soci
事件が起きてからもうすぐ1年が経とうとしています。
長崎で修習をしていた私にとって,この事件は決して他人事ではないと感じる事件でした。
ご存知の方も多いと思いますが,長崎では,一時期このような重大な少年犯罪が連続して発生したことがありました。
平成15年には長崎市内の立体駐車場において,当時4歳の男の子の遺体が発見されるという事件が起きました。
加害者は,当時中学1年生の少年ということが判明し,世間に大きな衝撃を与えました。
現場は,長崎市の中心街に位置し,裁判所や検察庁などにもかなり近い場所でしたので,私は毎日その脇を通って出勤していました。
平成16年には,佐世保市の小学校において,当時小学6年生の女子生徒が同級生に殺害されるという事件が起きました。
当時,私は大学浪人中であり,比較的よくテレビを見ていましたので,テレビメディアなどの報道に多く接しました。
私にとっては,人生で最も忘れられない事件のうちの一つとなっています。
この現場については,裁判で佐世保を訪れた際,修習指導担当の先生に連れて行ってもらいました。
記憶の中の映像と目の前の景色が一致した時,感じたことのない戦慄を覚えました。
少年事件に適用される少年法は,その目的について,「少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事件について特別の措置を講ずること」と規定しています(少年法1条)。
「大人だったら間違いなく刑務所行きなのになぜ。」「被害者ばかりが報道されるのはおかしいじゃないか。」
様々な意見があるとは思います。
しかし,少年には未来があります。自らが犯した罪と向き合って,自分自身を変えていける力があります。
その力を信じるからこそ,私たち弁護士は付添人として少年の健全育成のために全力を尽くすのです。
今回の報道では,加害者少年が医療少年院送致という処分になったとされています。
外野がとやかく言うことは簡単ですが,この事件では裁判官,家庭裁判所調査官,付添人が真剣にその処分を考えた結果,そのような処分に至ったものです。
加害者少年の罪が消えることは決してありませんが,自らの人生をやり直す自由はあります。
少年の更生がなされることを心から祈っています。
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