刑事事件の本当のところ
2015.06.11更新
こんにちは。
横須賀のアダジオ法律事務所の弁護士の角井です。
いやぁ,世間は国会審議で大変ですね。
私は政治的発言をするのが嫌というか炎上するのが怖いので多くは語りませんが,どうしても納得できない部分はあります。
それは,政府見解における国際法上の集団的自衛権に関する部分です。
何を隠そう,私は国際法選択で司法試験を受験しました。合格者は,同期で28人しかいません。ハハハハ,すごいでしょう。
えっ,全然わからないですって? 近くにいる弁護士先生や受験生に聞いてみてください。
「あー,マニアックだね。」という答えが返ってくることでしょう。
とにかく,国際法の話となれば黙っていられないのですが,いまは書面作成に追われておりまして,なかなかブログの記事を書く余裕がありません。
そのうち時間ができるはずなので,それまでの間しばしお待ちください。
国会審議のニュース以外では,刑事事件に関するニュースも多いですね。
職業柄どうしても事件の内容が気になってしまいますが,ひとつ気を付けなければならないことがあります。
それは,「ニュースで報じられている内容は,捜査機関が一方的に話しているだけ」ということです。
この世に存在する事実は常に一つだけですが,そこから見えてくる真実は一つとは限りません。
見る人によって事実の見え方が違うからこそ,争いは起こり,裁判になるのです。
ときには,どちらも嘘を言っているつもりがない場合だってあります。
そのため,一方当事者である捜査機関側の意見を鵜呑みにするのは非常に危険なのです。
弁護士の仕事の中でも刑事弁護の仕事はなかなか理解してもらえないものです。
「なぜ悪い奴の味方をするのか」と聞かれたとき,それに答えるのはなかなか難しいですしね。
ただ,私がそのように聞かれたときには,次のように答えるようにしています。
それは,「悪い奴かどうかは調べてみないとわからないんじゃない?」です。
人は言います。「だって自白してるらしいじゃない」。
自白といっても,実際はよくわからないまま「私がやりました。」と言っただけの場合もあります。
よくよく話を聞いてみると,その内容は自白とは呼べないようなものだったりします。
また,本人が言っただけなら身代わり犯人の場合だってあります。
その場合,本当は犯罪をしていない人が裁かれ,実際に犯罪をした人は逃げられるのですから,二重の意味で不正義となります。
ニュースで報じている内容は,主に警察や検察が記者会見の形で発表した事実が元になっていますが,捜査員個人への取材などによって得た情報もあります。
被疑者本人の言い分は全く含まれていません。
じゃあ被疑者も報道機関の取材に応じればいいのかといえば,それはそれで精神的にもつらいでしょうし,誤って伝えられることもあるでしょう。
だから,ニュースに接した時には少し立ち止まって考えてもらいたいのです。本人がそう話している「らしい」と。
もしかしたら真実は違うかもしれないと。
日常生活は,2時間ドラマのようにわかりやすいストーリーがあるわけではありません。
事件の現場で何が行われたのかを知る人は,実はその場にいた人も含めて誰もいないかもしれません。
その事件を証拠や推論によって明らかにしていくのが法律家の仕事なのです。
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